うんていやぐらは、アジャスターを使って天井と床との間でつっぱる方式で設置します。これは、ロープやつり輪を使ってスイングしたりなどダイナミックな遊びを可能とするために採用したものです。
ここでは、天井つっぱりの目的、すなわちうんていやぐらがつっぱり型にこだわった理由と、その所望の機能・性能をしっかりと発揮するために必要なつっぱり力の大きさについて示します。
つっぱりの目的
まず、つっぱりの目的を説明します。目的を理解することで、必要なつっぱり力や下地の必要性についての理解が進みます。
つっぱりの目的は主に3つ。
- 転倒しないようにするため
- 横滑りしにくくするため
- 変形を抑えるため
①転倒しないようにするため
天井と床との間を柱とアジャスターでしっかり埋めることにより、うんていやぐら全体が転倒しようにもできないという物理的な状況を生み出しています。
置き型はその性質上、転倒リスクを排除できない。この転倒リスクを低減するためには足を大きく広げて安定性を増すことが効果的だが、そうすると生活動線の邪魔になる。足の小指をぶつけて悶絶するリスクが上がる。
②横滑りしにくくするため
また、遊具全体が横滑りして動くリスクに対してもつっぱり型の方が有利で、対策の選択肢は豊富です。
置き型の場合、自重による摩擦力だけで横滑りに対して抗うことになる。うんてい自体の重さを重くしたり、足の裏に滑りにくい素材のものを貼るなどが有効な対策となる。
③変形を抑えるため
大型で組み立て式のうんていやぐらは、本質的に変形しやすいです。一般的には筋交いなどの補強材を入れて変形を抑えますが、つっぱり方式を採用することで省力することができます。これにより生活・遊びの邪魔ものを極力排除できます。
置き型の場合、変形に対して耐性をもつように筋交い(斜めの補強材)等による補剛が必要となる。筋交いはロープ遊びなどの際に邪魔になりがちであるとともに、見た目的にも開放感が損なわれ圧迫感を生じやすい。
必要となるつっぱり力
以上の目的に応じて必要となるつっぱり力は以下の通りとなります。
目的 | 必要なつっぱり力 |
---|---|
①転倒防止 | 天井に軽く触れる程度で良い |
②横滑り防止 | 大きければ大きいほど良い |
③変形防止 | 大きければ大きいほど良い |
一方、「大きければ大きいほど良い」と言っても、親の仇のように天井をつっぱってしまうと天井が抜けます。そのため、つっぱりにあたってはもう少し心構えが必要です。
実際のつっぱりの段取りと考え方
つっぱりの目的と必要なつっぱり強さ、および天井損傷リスクを踏まえ、実際にうんていやぐらをつっぱる際の段取りと考え方について示します。
なるべく天井が強い設置場所を選びたい
転倒防止のためだけであれば「天井にそっと触れる」程度のつっぱりだけで構いませんので、どんな天井でも構いません(勾配天井や高すぎる天井は除く)が、摩擦力を発揮しようとするとそれなりにつっぱる必要があるため、できれば下地があるところの方が安心です。事前に下地位置を調査いただき、うんていやぐらの天井板が下地にヒットするかどうかを確認ください。
なお、戸建ての方などで構造梁・化粧梁を利用した設置も良いです。実績がいくつかありますのでご相談ください。
横滑りしない程度のギリギリのつっぱり力をじっくり探る
組み立て時に初めてつっぱる際、どれくらいつっぱればよいのか悩ましいとお考えかもしれません。しかし、つっぱりの目的をすでに知っているあなたには怖いものはありません。うんていやぐらの天井つっぱりに関するメカニズムをまとめると以下の通りです。
- つっぱりが弱すぎると摩擦力が不足し、横滑りや変形が起きうる
- つっぱりが弱すぎても天井に触れてさえいれば転倒防止は機能している(置き型より優位)
- つっぱりが強すぎると天井が抜ける(壊れる)リスクがある
そのため、組み立て時においては「必要な摩擦力が生まれるギリギリのつっぱり力を探る」段取りが推奨されます。具体的には、4か所のアジャスターを均等に伸ばしていきながら、大人がうんていにぶら下がってグラグラしてもうんていやぐらが横滑りや変形しないようになるところを探る、という手順になります。
なお、天井板と天井との間には滑り止めシートがあり、これがつっぱり力で潰れ始めていたら摩擦力が働いていますので、それが一つの目安になります。
まとめ:うんていやぐらのつっぱりへのこだわり
天井つっぱり型は、置き型に比べて少々面倒なことがありますが、その恩恵は大きなものです。
- 転倒を気にせずダイナミックに遊べる
- 不要な補強部材が少なく済み、空間的にも視覚的にも開放感がある
暮らしに溶け込むうんていやぐら、ぜひ一家に一台、いかがでしょうか。